過去の展覧会

「ヘルシンキ・スクール写真展 風景とその内側」

「ヘルシンキ・スクール写真展 風景とその内側」

会期: 2009年6月27日(土)〜8月9日(日)

近年、日本で北欧の人気が高まってきています。多くの雑誌が特集を組み、各地で北欧のデザインやクラフトを紹介する展覧会が開催されています。美しい自然を有し、すぐれた芸術を生み出しているフィンランドは、北欧のなかでも特に関心が高まっている国です。
2009年、日本とフィンランドは修交90周年を迎えます。資生堂ギャラリーも開廊90周年を迎える今年、欧米のアートシーンで台頭しつつあるヘルシンキ・スクールの写真を、アジアで初めて紹介いたします。

ヘルシンキ・スクール(ヘルシンキ派)とは、ヘルシンキ芸術デザイン大学の教育課程から導き出されたアプローチや考え方を継承する教師、学生、卒業生たちのグループを名づけたものです。ヘルシンキ・スクールは、今回のゲスト・キュレーターであるティモシー・パーソンズが1982年に客員講師としてヘルシンキ芸術デザイン大学で教鞭をとるようになったことからはじまりました。同大学では、ひとつの考え方を教えるのではなく、様々な教師によってそれぞれの生徒の個性を尊重するという方法がとられています。また、写真の技術や理論を指導するだけでなく、卒業生たちをプロのアーティストとして育て上げることにも力を注いできました。

そのような同大学のカリキュラムから生み出される、ヘルシンキ・スクールの写真に共通してみられるのは、美しい自然がつくりだす風景と、北欧独特の光と色の捉え方、風景の内にあらわされる物語性です。

1996年にヘルシンキ芸術デザイン大学は、ヘルシンキ・スクールのアーティストたちの活動をサポートするために「ギャラリー・タイク」を立ち上げました。ギャラリー・タイクは、展覧会を開き、作品集を出版することによって、アーティストたちを広く世の中に紹介していきました。その結果、ヘルシンキ・スクールは、パリフォト、アートフォーラムベルリンなど主要な国際アートフェアで注目を集めることとなり、2007年にはフィンランド写真美術館、2008年にはパリの国立高等美術学校、2009年にはドイツのウォルフスブルグ美術館等で展覧会を行っています。

Tiina Itkonen “Iceberg II,” 2006 c-print/diasec カール・グスタフ・ヨルンルース氏所蔵

Tiina Itkonen
“Iceberg II,” 2006
c-print/diasec
カール・グスタフ・ヨルンルース氏所蔵

Anni Leppälä “Orange Tree,” 2009 c-print/aluminium

Anni Leppälä
“Orange Tree,” 2009
c-print/aluminium

本展ではヘルシンキ・スクールを代表する2名の中堅作家、ティーナ・イトコネン、サンドラ・カンタネンと、現在最も期待されている2名の若手作家、スサンナ・マユリ、アンニ・レッパラの4名の女性アーティストを紹介します。それぞれ違ったアプローチで写真に取り組む4名の世界を、ぜひお楽しみください。

○ゲストキュレーター

ティモシー・パーソンズ Timothy Persons

1954年ノルウェー、ナルヴィック生まれ。
1981年米国カリフォルニア、
クレアモント大学院大学 芸術修士課程修了。
・ ギャラリー・タイク ディレクター
・ ヘルシンキ芸術デザイン大学 主席講師、プロフェッショナル・スタディー・プログラム ディレクター
・ 国立現代美術館キアスマ シニア・キュレトリアル・アドバイザー

○出品作家

ティーナ・イトコネン Tiina Itkonen

1968年ヘルシンキ生まれ、
2002年ヘルシンキ芸術デザイン大学修士課程修了。Ultima Thule(最北の地、遠い未知の国を意味する)をテーマに、 グリーンランドの氷河や、北極圏に住む先住民族を撮る。

サンドラ・カンタネン Sandra Kantanen

1974年ヘルシンキ生まれ、2003年ヘルシンキ芸術デザイン大学修士課程修了。中国の風景画に影響を受け、北京の中央美術学院に留学した経験がある。構図や色彩など、絵画の影響を多分に受けた風景や植物の写真を撮る。

スサンナ・マユリ Susanna Majuri

1978年ヘルシンキ生まれ、2007年ヘルシンキ芸術デザイン大学修士課程修了。北欧の風景を舞台に繰り広げられる物語のスチールのような写真を撮る。後姿の人物が登場するが、表情は背景に写る灰色の空、明るく冷たい水の色などから読み取ることができる。

アンニ・レッパラ Anni Leppälä

1981年ヘルシンキ生まれ、2004年からヘルシンキ芸術デザイン大学修士課程在籍。過去に使われていた物や場所など、人々が懐かしく思うようなものを撮影し、喪失感や時間の経過、不安などをシンボリックに表現する。

Susanna Majuri “Kaksoset,” 2009 c-print/diasec

Susanna Majuri
“Kaksoset,” 2009
c-print/diasec

Sandra Kantanen “Untitled (Lake 1)” 2009 pigment print/paper

Sandra Kantanen
“Untitled (Lake 1)” 2009
pigment print/paper

■「ヘルシンキ・スクール写真展 風景とその内側」 開催概要

主催 : 株式会社 資生堂
会期 : 2009年6月27日(土)〜8月9日(日)
会場 : 資生堂ギャラリー
〒104-0061
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
Tel:03-3572-3901 
Fax:03-3572-3951
平日 11:00〜19:00 日曜・祝日 11:00〜18:00 毎週月曜休
入場無料
後援 : フィンランド大使館 日本・フィンランド修交90周年
協力 : フィンエアー・カーゴ

展示風景

カタログ

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