資生堂ギャラリーでは、2015年4月4日(土)から5月24日(日)まで、「椿会展 2015- 初心 -」を開催します。「椿会」は、1947年から続く資生堂ギャラリーを代表するグループ展です。時代とともにメンバーを入れ替えながら、70年近くにわたり継続してきました。
第七次椿会は、2013年に赤瀬川原平、畠山直哉、内藤礼、伊藤存、青木陵子の5名で結成されました。「初心」というサブタイトルは、「3.11」から復興していく過程において、初心を問い直す時期にあるのではないかとメンバーと共に話し合い、決めたものです。「初心」とは、「何かをやろうと思い立った当初の純真な気持」(三省堂『新明解国語辞典』より)。「初心忘るべからず」は、芸の智恵を説いた世阿弥の書に、人生の様々な段階において未経験のことに挑戦していく心構えであることと記されています。
展覧会のロゴは、常に「初心」に立ち返る象徴として、グラフィック・デザイナーの仲條正義が毎年新たにデザインしています。
本展は、同メンバーによる3回目の展覧会となります。昨年10月、かねてより病気療養中だった赤瀬川原平が急逝いたしました。しかし、今後の椿会展でも、赤瀬川の作品を展示し、存在を感じていただきたいと考えています。今回は、赤瀬川が1987年から1988年まで雑誌に掲載した絵日記を展示します。日常を独特の視点で記した、赤瀬川原平の文筆家と挿画家としての顔をみていただけるものです。
さらに、第七次椿会に今回より新たなメンバーを迎えます。新メンバーは、現在ドイツ・フランクフルトのザ・フォーサイス・カンパニーで活躍するダンサーの島地保武(しまじ やすたけ)です。展覧会の会期中ギャラリーで、展示作品にインスパイアされて創作するダンスを即興で披露します。どうぞご期待ください。
そして、畠山直哉は、ドイツ各地に存在する、氷河によって運ばれた巨大石を撮影したシリーズ、内藤礼は、2013年から続けて出展している「color beginning」と「ひと」の最新作、伊藤存は、昨年銀座周辺で行った生きもの調査をもとに制作した刺繍作品など、青木陵子は、意識的に作品を作る傍らで、無意識的にできた小さなドローイングを数点展示する予定です。
新メンバーを迎え、新たな段階へと踏み出した今回の椿会展を、ぜひお楽しみください。