過去の展覧会

「第11回 shiseido art egg」

「第11回 shiseido art egg」

会期: 吉田志穂展: 2017年6月2日(金)~ 6月25日(日)
沖潤子展: 2017年6月30日(金) ~ 7月23日(日)
菅亮平展: 2017年7月28日(金) ~ 8月20日(日)

資生堂ギャラリーは、1919年のオープン以来「新しい美の発見と創造」という考えのもと、100年近くにわたり、活動を継続してきました。shiseido art egg(シセイドウアートエッグ)は、2006年にスタートした新進アーティストの活動を応援する公募展です。入選者は資生堂ギャラリーで開催される通常の企画展と同様、担当キュレーター、専門スタッフと話し合いを重ね、共に展覧会を作り上げます。

第11回目となる本年度は、全国各地より279件の応募をいただき、全体の約8割を20-30代の方が占めました。今回も資生堂ギャラリーの空間を活かした独創的なプランが多く提案されましたが、選考の結果、独自の視点から世界を捉える感性豊かな3名、吉田志穂(よしだしほ)、沖潤子(おきじゅんこ)、菅亮平(かんりょうへい)が入選となりました。入選者の個展を2017年6月2日(金)~8月20日(日)にかけ、それぞれ開催いたします。次代を担う3名の新進アーティストたちの個展に、ぜひご期待のうえ、ご来場賜れれば幸いです。

審査員 : 岡部あおみ(美術評論家/資生堂ギャラリーアドバイザー)
水沢勉(神奈川県立近代美術館館長/資生堂ギャラリーアドバイザー)
資生堂 企業文化部

なお、各個展終了後、3名の審査員が3つの個展の中からshiseido art egg賞を選出します。今年度の審査員は、岩渕貞哉氏(いわぶちていや:『美術手帖』編集長)、宮永愛子氏(みやながあいこ:美術家)、中村竜治氏(なかむらりゅうじ:建築家)の3名です。
受賞者は2017年9月下旬にウェブサイトにて発表します。

※第10回 shiseido art eggは2016年2~4月に開催しましたが、第11回より6月~8月の開催となります。

※ 参考作品には過去の作品写真が含まれております。ご了承ください。

■吉田志穂展 <写真>

2017年6月2日(金)~6月25日(日) 21日間

吉田志穂は、WEBやスマホによってデジタルイメージが日常の身近な存在になった現在における写真の可能性を探究します。画像検索やグーグルマップなどを利用した撮影地のリサーチを元に現地へ赴き実際に撮影するという行為を複合的に組み合わせた独自の撮影プロセスで作品を制作します。撮影地に赴いて撮影したオリジナルのイメージとWEB上のイメージをモニターから再撮したイメージを取り混ぜることで、写真を撮るという行為とプリントという写真の物質性にこだわります。撮影プロセスが生みだす複数のイメージは、ギャラリー空間の中で溶け合い、一つのイメージ世界へと変容します。今日の私たちの視線とイメージのあり方に問いを向けます。

「測量|山」 2016 ラムダプリント サイズ可変

「測量|山」 2016
ラムダプリント
サイズ可変

吉田志穂 (よしだしほ)

1992 千葉県生まれ
2014 東京工芸大学芸術学部写真学科卒業
東京在住

主な活動
2014 「第11回写真1-WALL」展 グランプリ受賞
2016 個展「測量|山」Yumiko Chiba Associates

■沖潤子展 <刺繍>

2017年6月30日(金)~7月23日(日) 21日間

沖潤子は、個人的な、あるいは何らかの物語が垣間見える古布に、自己流で始めた繊細な刺繍を施します。布が経てきた時間とその記憶に沖の針目が重ね合わされることで、偶然性をも含んだオブジェが立ち現れます。布は皮膚であり、針を刺すのは記憶を留めるためという沖の創作行為は、まるで古布に新たな生を与えているように感じられます。本展では、蛹(さなぎ)をイメージとして重ね合わせた刺繍作品を中心に据え、針を題材とした作品、および映像作品も展開する予定です。人間が持つ創作活動への根源的な欲求と転生といった主題を取り上げることで、既存の刺繍や工芸といったジャンルに捉われない独自の表現を探求します。

「midnight」 (部分) 2016 絹 木綿布 絹糸 木綿糸 120 × 130 × 10cm 金沢21世紀美術館蔵

「midnight」 (部分) 2016
絹 木綿布 絹糸 木綿糸
120 × 130 × 10cm
金沢21世紀美術館蔵

沖潤子(おきじゅんこ)

1963 埼玉県生まれ
セツモードセミナー卒業
2002 企画会社勤務を経たのち、自己流の刺繍を始める
鎌倉市在住

主な活動
2016 金沢21世紀美術館コレクション展「NOUSぬう」参加
2017 4-5月 個展 Office Baroque(ブリュッセル)にて開催

■菅亮平展 <インスタレーション>

2017年7月28日(金)~8月20日(日) 21日間

菅亮平は、今や世界各所に存在するようになった美術館やギャラリーに特有の展示スペースである「ホワイトキューブ」をモチーフとして作品を制作します。当然そこにあるものだと想定される美術作品が消し去られた空虚な空間が展示スペースの壁を越えて、際限のないイメージとして連続していきます。こうした虚構の「ホワイトキューブ」のイメージが「ホワイトキューブ」の空間を歩きまわる観者の視点によって立ち現れ、ギャラリー空間いっぱいに投影されます。巨大な「ホワイトキューブ」のイメージは、実在するギャラリー空間の中に迷路のような錯覚を出現させ、そこで美術作品を見るという我々の視覚体験を揺さぶることでしょう。

「White Cube‐06」 2013 インクジェットプリント 100 × 150cm 東京藝術大学大学美術館所蔵

「White Cube‐06」 2013
インクジェットプリント
100 × 150cm
東京藝術大学大学美術館所蔵

菅亮平(かんりょうへい)

1983 愛媛県生まれ
2016 東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻博士後期課程修了
ミュンヘン/東京在住

主な活動
2013 個展「White Cube」トーキョーワンダーサイト本郷
2015 「野村美術賞」 受賞

■shiseido art egg賞

各個展終了後、3名の審査員が3つの個展の中からshiseido art egg賞を審査会で選出します。今年度の審査員は、岩渕貞哉氏(いわぶちていや:『美術手帖』編集長)、宮永愛子氏(みやながあいこ:美術家)、中村竜治氏(なかむらりゅうじ:建築家)の3名です。8月25日(金)、審査過程にオーディエンスへのオープン性をもち込み、審査員と作家を交えた対話型の審査会を一部公開形式で行います。詳細はイベント情報ページでお知らせいたします。

第11回shiseido art egg審査員プロフィール

岩渕貞哉(『美術手帖』編集長)

1975年横浜市生まれ。1999年慶応義塾大学経済学部卒業。2002年美術出版社『美術手帖』編集部に入社後、2007年に同誌副編集長、2008年より編集長。美術出版社執行役員。2017年、ウェブ版『美術手帖』、展覧会情報サイト『ART NAVI EX』をオープン。トークイベントの出演や公募展の審査員など、幅広い場面で現代のアートシーンに関わる。

宮永愛子(美術家)

1974年京都市生まれ。2008年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程修了。日用品をナフタリンでかたどったオブジェや、塩を使ったインスタレーションなど気配の痕跡を用いて時を視覚化する作品で注目を集める。主な受賞に2009年第3回shiseido art egg、2013年「日産アートアワード」初代グランプリなど。主な展覧会に「宮永愛子:なかそら―空中空―」国立国際美術館(大阪、2012年)など。

Photo by MATSUKAGE ©MIYANAGA Aiko Courtesy Mizuma Art Gallery

Photo by MATSUKAGE
©MIYANAGA Aiko
Courtesy Mizuma Art Gallery

中村竜治(建築家)

1972年長野県生まれ。東京藝術大学大学院修了。青木淳建築計画事務所勤務後、2004年に中村竜治建築設計事務所を設立。住宅、店舗にとどまらず展覧会会場の展示デザインやインスタレーションまで幅広く手がける。これまでの主な受賞に2006年グッドデザイン賞、同年JCDデザインアワード大賞がある。2010年「建築はどこにあるの?7つのインスタレーション」(東京国立近代美術館)に出展。2016年「BEAUTY CROSSING GINZA ~銀座+ラ・モード+資生堂~」(資生堂ギャラリー)では展示デザイナーとして参加。

■関連企画

作家によるギャラリートーク

①吉田志穂 : 6月3日(土)※終了しました。
②沖潤子 : 7月1日(土)※終了しました。
③菅亮平 : 7月29日(土)※終了しました。
会場 : 資生堂ギャラリー
予約不要
参加費無料

特別イベント 沖潤子展ワークショップ 「PUNKの種をみつける」

布と針を使って立体作品を制作します。※終了しました。

日時 : 7月8日(土)14:00~16:00
場所 : 資生堂銀座本社ビル2階(東京都中央区銀座7-5-5)
人数 : 20名/お申込み順
事前申し込み制
参加費無料

会期中に吉田志穂展、菅亮平展でも別途トークイベントの開催を予定しています。

■「第11回 shiseido art egg」展 開催概要

主催 : 株式会社 資生堂
会期 : 吉田志穂展 2017年6月2日(金) ~ 6月25日(日)
沖潤子展 2017年6月30日(金) ~ 7月23日(日)
菅亮平展 2017年7月28日(金) ~ 8月20日(日)
会場 : 資生堂ギャラリー
〒104-0061
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
tel.03-3572-3901 fax.03-3572-3951
平日 11:00~19:00 日・祝 11:00~18:00
毎週月曜休(祝日が月曜にあたる場合も休館)
入場無料
協力 : FLAT LABO
株式会社スタジオランディノーツ
堀内カラーフォトアート(以上 吉田志穂展)
横田株式会社
とうふ工房 とちぎや
イワサキ・ビーアイ
Fe metal factory(以上 沖潤子展)
Shosuke Watanabe
株式会社カシマ
CAD印刷ドットコム
株式会社近代カラー
有限会社パッセージ(以上 菅亮平展)

展示風景

吉田志穂展 <写真>

沖潤子展 <刺繍>

菅亮平展 <インスタレーション>

撮影:加藤 健

カタログ

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